国際総合ヨガ協会の始まり(Part2) Edit

◯国際総合ヨガ協会の名称の意味

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沖正弘先生は、すでに1960年代~70年代当時までに、ヨガの組織として「日本ヨガ協会」、「国際ヨガ美療学会」、等の創設にかかわれていましたが、1980年の世界大会の前に、これからつくられる組織について、国際的であることと、総合的であること、また求道的、生活的であることを沖ヨガの特徴として、私達に教えられ、名称についても示唆されていました。
1976年に出版された「ヨガ総合健康法」という本の中でも、強調されていますが、「総合」という意味は一般に思われている内容と違い、独特の深さを加えられています。総合は「集合」ではない、単に〇〇科と△△科、部分を寄せ集めただけの総合病院や、アサナと呼吸法と瞑想を集めただけで総合といったりするのではなく、「生きている人間に必要な心身生活環境の全てこと」を有機的に結合してという意味、とされていました。実際、☓☓総合病院といっても、事実はいくつかの専門部を集めただけで、診療は相互に相補しない、あまり関係しない部分的な診療や治療で、名ばかりの総合病院がよくあるのです。
「国際」という意味には、単に諸外国で活動する、日本国内だけでないという意味でなく、国際的に通じる「真実」という意味が込められています。私達は無自覚に「自国や地域の常識」という目で諸外国や諸地方の様々な慣習を見て批判したり、結果的に偏見といえる態度をとっていることがあります。現在でも偏った情報しか与えられない環境にいる人々のとる態度・行動を見ていると、よくわかります。それぞれの地域や国で習慣や常識とされているものは、世界的に通用する「真実」ではない場合が多いのです。その枠内に留まっていると、決して気づけない真実の世界があるのです。
沖先生は戦中から国際的に活動され政治体制も文化も違う諸外国を巡り、仏教、キリスト教、イスラム教他、世界各地域の文化や信仰、生活習慣を沢山経験して、その中でどこにいっても間違いがないこと、真実であることを求道され続けられ、沖ヨガの行法哲学の内容とされています。この国際総合ヨガの国際という語には日本人にありがちな島国的視野を超え、幅広い視野で、真実のことを、ということも込められていました。求道実行会に所有権のある「国際沖」という語は、商標登録されていますが、その意思の表れでもあります。

◯ヨガという語
沖先生は、ご自身の創りだされたヨガを、「求道ヨガ」と呼ばれ、日本とインドと中国のヨガ、禅、陰陽哲学、および東西の伝統的訓練法や医療法、悟道法、武道、芸道などを総合化したヨガ、と表現されています。そしてご自身のヨガのお手本(モデル)とされたヨガで悟りを得た人として、シャカ・ムニ・ブッダの総合ヨガをあげられ、直接的にヨガ精神を学んだ人として、ビルマ建国の父:オッタマ僧正とマハトマ・ガンジーをあげておられます。また、生活の全てを修養法・修行法・治病法等にするシステムが特徴とされています。また沖ヨガや沖道という表現は、弟子が言い始めた表現ですが、分かりやすいから、また沖正弘が責任をとる内容という意味で容認している、とされていました。
さてこれでわかるように、沖先生自身にとって「ヨガ」は、日本・中国・印度に伝わる伝統的な修養法・修行法・治病法などに共通している普遍的な叡智としての、哲学と行法であり、また人間性の能力開発・啓発法の技術と考え方であったことがよくわかります。また、ヨガを一つの技術、習い事の一つや健康法としてのみとらえては、ヨガの本質を見失うこととになるので、どのような講演会でも「ヨガとは」という語の確認を常に講演内容に含めておられ、ヨガの本質、中心となる行法は「冥想」とされていました。

◯ヨガ、ヨーガ、YOGA、瑜伽
ここで、もう一つヨガという語にまつわることを述べておきます。
「ヨガ」という表現を間違っている、「ヨーガ」が正しい、という人が時々いたりしますが、それはサンスクリットのYOGAを日本語で表記する時に「ヨーガ」と書きましょう、と明治の梵語学会での約束事から来ています。それは、単に学問上の約束事なのであり、「ヨーガ」が正しい、「ヨガ」は間違い、という言い方にすりかえるのは、間違いと気づかねばなりません。日本には「瑜伽」が奈良時代に佛教の渡来と同時に入って来ています。佛教の一部、修行法として紹介されたので、それ自身が教えと独立した内容のものとはされませんでした。「禅」もヨガのディヤナ(Dhyana)行法ですが、禅を「ゼン」と発音したら間違い、「ディアナ」が正しい、とは言わないでしょう。それは伝統的にそう発音してきたからでしょう。高野山の場合は弘法大師が嵯峨天皇から「瑜伽」修行の道場として下賜された山です。その発音は「ユガ」「ユゥガ」でした。インドでYoga道場に行きますと確かに「ヨーガ」と聞こえる発音の人もいますが、「ヨゥガ」と発音する人の方が現実的には多いように思います。「ヨーガ」、つまり「ヨ」を長く伸ばし、「ヨー」と発音する人をあまり見かけませんでした。明治の梵語学会では、佛教の立場で使ってきた「瑜伽」という語を、学問の立場では、従来の使い方と混同をさける為に「ヨーガ」と表記しましょう、ということになったのです。
ちなみに中村天風、沖正弘の系統の先生方は「ヨガ」と書く人が多く、佐保田鶴治系統の先生は「ヨーガ」と書いています。どちらでも間違いではないですが、国際総合ヨガは伝統に従って、「ヨガ」と書いています。
英語では[International Integrated Yoga]と書いています。インテグラル(総合:Integral)ではなく、インテグレイティド(総合化された)です。これもインテグラル・ヨガというグル―プがあるので、混同を避けるためと、より内容が表わされる、という意味で「総合化された」を使いました。

(続く)

written by 龍村修