ヨガの基礎知識

何故、体操的なことをするのか?

現代人がいわゆる座禅の坐法の一つである結跏趺坐をとろうとすると、多くの人は最初からできないでしょう。仮にできたとしても、痛くて10分間も続けるのは困難でしょう。骨盤が安定して、背筋が伸びて、筋肉がほぐれて、呼吸が楽に出来て、脳が安定して来る姿勢を、一定時間維持できる状態の身体にする為には、身体の歪みや縮みをとって、血行が悪くならない状態に、呼吸が楽にできる身体にする必要があります。その必要性が、今で言う様々な体操に見えるヨガのポーズを生み出したのです。
釈尊の頃(2500年前ごろ)は、ヨガのアサナ(坐法、ポーズ)は、日本語でいう正座、結跏趺坐、半跏趺坐、安定坐法、達人坐法など数個の坐法(ポーズ)しかありませんでした。それが、そうした目的で、時代を下るに従って徐々に増えていったものと思われます。13世紀の頃には数百になったともいわれています。また、瞑想が静的な形だけで行うものだけでなく、動的な状態でも達することができ、そこにも大きな価値を見いだしたのです。ハタヨガの「ハ」「タ」は「陰陽」の意味であり力・エネルギーコントロールのヨガの意味なのです。

様々なヨガの道、ヨガの種類

バガヴァッドギータと呼ばれるインドの古典(BC300-500?)には、カルマヨガ(奉仕道、行為のヨガ)、バクティーヨガ(信愛、祈り、信心の道)、ジュニアナヨガ(知識の道)、ラジャヨガ(王の道)など伝統的なヨガの道が説かれていますが、それらは富士山の頂上に至る登山道が色々あるのと同じで解脱や悟りに至る道の違いで、技術につけた名前の違いではないのです。この分類の仕方に8世紀以降に盛んになった、ハタヨガやクンダリーニヨガが後から加わって来ます。
ところが、こうした伝統的な分類の意味を理解せず、あたかも同列のようにアシュタンガヨガやハリウッドヨガとか、アイアンガーヨガとかの名前を加えていたりするようになりました。これは、国の名前と都市の名前と動物の名前を一緒に並べて、ヨガと呼んでいるようなものなので、知らない人達は混乱するのです。
例えば「アシュタンガ(8つの)ヨガ」は本来8つの階梯(支則)のヨガの意味で、パタンジャリの説いた八つの段階を指すものなのですが、近年は南インドのパンタビジョイスという個人がまとめた「連続ポーズの技術的ヨガ」を指す様に使われています。アイアンガーヨガや沖ヨガはそのヨガ道の開発者の名前(BKSアイアンガー、沖正弘)をつけているだけです。特に沖ヨガは、ハタヨガやラジャヨガやカルマヨガ、ジュニアナヨガ等の内容を含んで、総合的に説かれているものです。ハリウッドヨガ等は、ある企業がハリウッド俳優が行っている連続ポーズの技術の意味でつけているだけで、本来のヨガの分類にいれられない内容のようです。ヨガは本来ある種の技術につけられた名前ではないのですが(つまり統一や調和の状態を指す言葉)、技術につけられた名前であるかの様に使われてしまっているのです。

written by 龍村修