【講師コラム:伊藤敦子】ひと呼吸して、自分の目で・・・

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『時をかける少女』『くたばれPTA』『農協月へ行く』で知られる筒井康隆さんが童話を書かれているのを知ったのは20代。絵本の学校に在学中の頃でした。
 『筒井康隆全童話』…初版昭和51年。5編から成る一冊。その物語のどれもが、子供が子供向けに、子供らしい想いで綴られた感じの文章なのです。さくさくっと読めて、クスッと笑えて、ところどころに風刺的な毒も感じ、ちょっと考えさせられます。何度読んでもブラックユーモアな世界に引き込まれました。
 その全童話の中のひとつ 『うちゅうを どんどん どこまでも』のお話…
博物館のでっかい宇宙船にちょっとした出来心で乗り込んだ二人の子供。操縦の仕方もわからない二人。けれど宇宙船はどんどん宇宙の果てへて飛んでいきます。
「うちゅうの終点。ここから先は、だれも、はいれません」 「これいじょう、はいると、キケン。死にます」などの立て札を横目にズンズン飛びつづける宇宙船。いったいどこまで行ってしまうの…?
たしか、このお話の最後には、キケンなところにはどんどん行ってみましょう的なことが書かれていたと記憶しています。

 さて、絵本作家レオ・レオニさんの『うさぎたちのにわ』は…
二匹の子兎が、旅にでかけるお爺さん兎に「人参は好きなだけ食べていい。だが、りんごに手出しはしないこと。でないと、キツネにやられるぞ」と言われていました。

 ある日りんごの木の下で、子兎たちは、蛇のしっぽの先っちょを人参と間違えて飛びつきます。
でも、それを契機に三匹は仲良しになります。
ところがある日、二匹が赤ぎつねに捕まりそうになった時、逃げる子兎たちを待っていたのは、なんと大きな口を開けた蛇でした。二匹はぴょんと蛇の中に飛び込みます!
そのシーンで、昔子供だった大人も、たくさんの子供たちも、たぶん息を呑みます。
そして、ある晴れた日におじいさん兎が旅から帰ります。
彼は自分の目が信じられなかった。子兎たちがニコニコした大きな蛇に抱っこされながら、うれしそうに笑っているのですから、もうびっくり!なのでした…

 世の中には色んな人がいて、色んな感じ方があって、色んな考えがあって、色んな環境があります。そんな中で、沖ヨガの言葉の一つの『信じるな。疑うな。確かめよ。』を思います。

「良いか悪いかホントかウソか、敵か味方か、決めつけないで、自分の目で考えよう!」

筒井康隆さんの童話『うちゅうをどんどん…』にも、『うさぎたちの…』にも、わたしは「じぶんの目で…」を感じます。

信じるな、疑うな、ひと呼吸して、自分の目で確かめてみよう。

・・・生活の中で、わたしが大切にしている言葉です。