【講師コラム:山田晃】幹部50名を沖ヨガ修道場へ派遣

「健康・活性・訓練・創造・進歩」を社是にしていた社長は社員の健康への理解が深く「健康は万事の基である」という信念を持たれておりました。社内食堂には身体によい食べ物などの「健康ニュース」情報が張り出され、希望する社員には玄米弁当を斡旋したり夏場には梅干や乳酸菌飲料が提供され、始業前には、各職場において創業当時からラジオ体操をアレンジした職場体操が実施される等、かなり徹底したものでありました。又、ご自分の身体の健康管理にも気を付けられており、社内で採れた青菜などをジュースにし、社内の庭で剣道の素振りの後には、おいしそうに飲まれていました。

1978年(昭和53年)1月。 還暦祝いには花よりヨガ?との思いから、ある日、社長に「総合的な健康管理が学べる道場があります。よろしければ紹介します。」と進言、断食などの体験もある社長は「自身の健康管理は経営責任である。是非行ってみよう」ということになりました。

おりしも早春弥生3月、社長は還暦誕生月に単身、道場へ1週間体験入門されました。

正直いって私は内心「大丈夫かな。道場の気風は肌に合うのだろうか。“とんでもない所をよくぞ紹介してくれたものだ”と怒っているのではないか等、落ち着かない1週間でした。

週明け出社した社長の額には絆創膏が貼られ、一瞬エッ!怪我でもされたのではないか、と戸惑いましたが「良い所だ。年内中、幹部を50名(10名5班)派遣するように」と指示が発せられました。絆創膏は、何でも「入門後いきなり強化法があり、床に額をぶつけてしまったよ」とのこと。それ以外は何も話されませんでしたが、沖導師とは、戦火の同胞として生死の崖淵から生還し、その生き方に共感され、事業経営と社員の健康づくりにおいて総合的に学び得るものがあった結果だ、と受け止めホッとしたのを覚えています。

それからが大変です。

幹部50名(男性)が10名編成で、第1次から第5次まで(5月6月7月9月10月)道場研修計画が発表され、社内では一体何が始まったのか戦々恐々です。

道場は元々自ら入門し修行する所であり、いきなりのこの研修出張派遣には無理があり、なかなか社内のモチベーションが上がりませんでした。「変なことを進言した者は誰だ」「健康は自らがつくるものである。会社が強制するものではない」「健康診断では問題なし」「生産・営業に支障が出る」などいろいろな苦情や不満が寄せられました。会社の出張命令といえども厳しいものがありました。(結果として、会社の経費で、仕事を離れ健康増進できるのですからこんな有り難い話はないのですが、ヨガそのものを聞くのも初めてであり、当初出張受け入れにはかなり抵抗感を持った幹部が多数おりました。)

それでも5月研修予定の第1次幹部10名は、社内の有志でつくった早朝午前7時からの自主トレに参加、身体を調整しはじめました。始業1時間前の軽いウォーミングアップ、ジョギングを中心としたランニングや柔軟体操です。若い新入社員の研修と合同でのトレーニングです。この光景を見ていた社長は、自主トレ参加者にインスタント味噌汁やコーヒーを提供しその姿の労をねぎらわれておりました。

どんなことが待っているのか。仕事にどれだけ役立つのか。1週間会社を自宅を留守にする第1次研修班のメンバーの心境は測り知れないものがありました。

次回に続きます。